【映画】BAGDAD CAFE / CALLING YOU / バグダッド・カフェ

FILM JUKEBOX

ハッキリ思い出せませんが、たぶん23年前ぐらいだったと思います。
まだインターネットというか、メールも使ってなかったので、もう
少し前かもしれません。
クライアントからあるリクエストがあって、それには、たまたま僕が
好きだった映画のことがリストされていました。
その日の晩 自宅に戻ってから、その映画の VHS(時代が~)を持って
いたので、観直してみました。

よく描写を観ながら、風景や道、標識のサインなどないか、夜中まで
何度か観て、自分なりに見当をつけました。
今みたいにネットもないので、その映画を知るためには、その映画を
観るのが一番の情報でした。
早朝の4時頃か3時頃か、その辺りで、カメラと愛犬を乗せて、漠然と
自分の旅の経験と勘だけで、どこかも分からない、もっと言えばその
映画の舞台は、脚本の設定の全てが架空で、全く違う土地で撮影して
いたら、見つけられるわけもないし、まして全てがセットなのかも
何も分からない状況で、あるヒントを便りにハリウッドを出ました。

ホント今だったら、そんなこと出来ないし、思いつきもしないです。
すぐに GOOGLE ですからね。

まず10時間走ってみよう。

その道中で聞き込みをして、ダメだったら、諦めて戻ればいいや!
当時でもですが、そんなにいい加減で、全く何も見えてない状況で
憶測だけで仕事をするなんて、あり得ないんですが、勢いなのかな
いつものように出発してしまいました(笑)

どのみちダメもとだ!

たぶんですが、携帯がまだなかったか、存在したとしても、手に届く
ものではなかった時代だったと思います。
とにかく、僕は持っていなかったし、会社にも携帯がなかったので
会社の留守電話に、MOJAVE に向かうので、3日ぐらい出社できない
かも知れないと伝言を残し走り出しました(笑)

あるヒントとは

映像の中に見えた鉄道と LAS VEGAS から下った MOJAVE DESERT です。
映画の設定を信じて、まずその方向に向かって走ること(笑)
とにかく鉄道が走ってる近くの町のガソリンスタンドや、ダイナーで
聞き込みするという無謀なものでした。
そして
昼頃にランチで、立ち寄ったダイナーで、映画のことを色々と話すと
ウエイトレスの女性が、そのカフェなら、”知ってるわよ!”
そう教えてくれたんです!

あの時は、ビックリしたし、嬉しかったなぁ。
あれほど途方もない漠然とした勘だけで、それほど苦労せずに聞き込み
が成功したんです。
もちろん何軒も聞き込みましたが・・・

迷わないように、親切に道の詳細を教えてくれて、もともとダメもと
だったので、ついでにアリゾナまで行って(ドライブが好きなもので)戻る
つもりでしたが、カリフォルニアの NEW BERRY SPRINGS という土地に
その舞台はありました。

映画というのは BAGDAD CAFE でした。

走っていて、まさに映画で観た風景だ!
ビックリしました。
それは
セットじゃなくて、本当にカフェがあったからです!

カフェにモーテルや水槽タンクも全て、セットじゃなくて、そのままだ!
中に入って、まずコーヒーを頼んで、カフェの詳細を確認しました。
そして
オーナーと話が出来ないか聞いて、お話をその場でさせていただきました。

あるバンドの MUSIC VIDEO の撮影をさせてもらえないかというもので
回りくどいことを言ってる時間がないので、単刀直入に、そのまま撮影
機材やスタッフの規模など、勝手に想定して、貸切るための費用や条件
や保険の話なども、ある程度まで話をして、日程だけは、クライアント
に打診してから決定だとお伝えして、カフェの内装や外装などを撮った
のが、これらの写真です。
内装の写真が1枚も今の僕の手元にないので、会社にはあると思いますが。

当時のロケハンは・・・

36枚撮りを、2本分ぐらい撮ったのですが
持ち帰って現像するまで、キッチリ撮れているのかすら、分からない
という超アナログ時代の怖さがありました。
もし撮れてなかったら、また行かないといけないですからね。
今のデジカメがあったら、何百枚も詳細を撮って、現場を見つけたこと
携帯で会社に連絡して、写真もその場で送って、映像も撮って送れる。
当時は大変な時代だったんだなって思います。

今は仕事がしやすいですね。
この僕の経験も今だったら、5分でリサーチ完了ってとこですね。
何でもネットで、まず調べられるし、時間もお金も無駄にならないしね。
その差は僕の時代とは、天国と地獄ぐらい違う。
オーナーとの話だって、電話で済むかも知れないし、とりあえずは先に
クライアントに現場があるってことは伝えられるから、超楽だなって
思います。

映画の雰囲気が・・・

今のオーナーさんは、どうかは分かりませんが、その当時の映画の撮影
のことを聞こうとすると、そのオーナーは映画の撮影の後に、カフェの
権利を買ったので、撮影当時のことは前のオーナーしか知らないという
ことでした。
僕が行ったときは、写真の通り BAGDAD CAFE の看板がとりつけられて
いて、”FILM LOCATION OF THE MOVIE / BAGDAD CAFE” と、ちょっと
露骨で(笑)残念なペイントが壁にされていました・・・

SIDEWINDER CAFE

ちなみに
その時のオーナーに聞いたのですが、撮影当時のカフェの元々の店名は
SIDEWINDER CAFE だったことも教えてくれました。
そのオーナーが、俺が “BAGDAD CAFE に店名を変えた” と言ってました。
まぁビジネスマンですね。
今でも同じオーナーなのかなぁ、どんな状況かは分かりませんが。

その後

そのままハリウッドに戻って、写真を現像に出して、無事撮れていた写真
を FEDEX で日本に送りました。
当時で、だいたい届くのに、1週間ぐらいだったかな。
先にフックス(古ッ)で、写真を送っておき、クライアントの判断を待ち
ましたが、写真が届くとすぐに、国際電話が会社にかかってきて、本当に
BAGDAD CAFE が見つかったのか!

クライアントは大喜びしてくれてました。
すでに、90%撮影の話もつけてあったので、クライアントは即答で、ゴー
サインをくれました。

MUSIC VIDEO の撮影

日本からのバンドとスタッフ、そしてアメリカチームの撮影機材や現場
スタッフが結集して
無事に撮り終えて、現場では問題も事故もなく、オーナーとも友好に仕事
ができました。

大昔の話なんで、問題はないと思うのですが、そのバンド名などは問題
になるといけないので、僕からは控えさせていただきます。
僕は観たことが、3回ぐらいかしかないのですが、以前は YOUTUBE にも
その MUSIC VIDEO はアップされてたらしいです。
今はないようですね。

この BAGDAD CAFE は、僕のアメリカ時代の思い出深い土地になりました。
この仕事で
その後凄くお世話になったカメラマンの方と、出会いました。
現場を見つけたことを凄く喜んでくれたこと、サンタフェ鉄道の映像も
撮りに行ったことを思い出します。
そして
次の仕事機会も作ってくれて、またアメリカに来てくれて、一緒に仕事を
させていただきました。
厳しい方でしたが、プロ中のプロ、仕事の心得や厳しさを短い間に色々と
教えていただきました。

R.I.P.
HIRO san

アメリカで、カメラマンをやっていた凄い経験の話も聞かせていただき
わくわくさせていただきました。
なかなかご挨拶が出来なったことを、心底後悔しています。
何も業界のことを分かっていない僕に、アメリカの環境では知らないこと
色々と教えていただき、一生忘れません。
ありがとうございました。

映画 BAGDAD CAFE

この映画に関しては、本当に好き嫌いがハッキリしているのかな~って
僕は思いますが、玄人とかアーティスト系の人たちは大好きなようです。
独特の色と光、独特の役者さんたちの個性、何と言っても脚本が独特!
まさにエンターテインメントを楽しめる映画かなって思います。

この映画で、あらたに脚光を浴びたのは、最初の4人かな。

● PECRY ADLON / ドイツ人監督
● MARIANNE SAGEBRECHT / ドイツ人女優
● CCH POUNDER / アメリカ人女優
● BOB TELSON / アメリカ人作曲家
● JACK PALANCE / もとから有名なので

久しぶりに DVD を観ましたが、懐かしいなって思います。
やっぱり独特ですね~

CALLING YOU / JEVETTA STEELE

そして
やっぱり出てくる話が、主題歌の話ですね。
BAGDAD CAFE を観ていなくても、この曲を知っている方は、本当に多い
と思います。
世界中の多くのアーティストにカバーされていて、ヒットは全くして
いないですが、アルバムに収録したい、唄ってみたい曲なんでしょうね。

この曲で有名になったのが、作者でサウンドトラックのプロデューサー
だった BOB TELSON じゃないかと思います。
世界中で愛される、そして世界のアーティストに唄われ続ける1曲を
書き、”BAGDAD CAFE” のあの世界観の音楽を創作したことが、凄いです。

このサウンドトラックは、とにかくオススメです。
懐かしい CD を聴きながら書いています。
JEVETTA STEELE が唄う “CALLING YOU” は当然素晴らしいし、この映画の
アイコンですが、サウンドトラックは、映画の中で出てくるシーンなどが
思い浮かぶし、楽しくて、BGM でずっと聴いていても、全く飽きない、素晴
らしいサウンドトラックです!
そして
BOB TELSON 自身が唄っている CALLING YOU が収録されています。
これがまた違うので、いいですよ。

BAGDAD CAFE / LOCATION

LOS ANGELS から行くことを前提とします。

● INTERSTATE 10 EAST
● INTERSTATE 15 NORTH
● BARSTOW で INTERSTATE 40 EAST
● NEWBERRY SPRINGS で降ります。
● 自動的に NATIONAL TRAILS HWY / HISTORIC ROUTE 66 になります。
● EAST 方面に向かえば、左手に BAGDAD CAFE が見えてきます。

僕は何度か行きましたが、最後に行ったのは、2000年ぐらいなのかな。
その時はノートがあって、映画のファンが色々書いて残すみたいなのが
ありました。
今はどうなのかな。
BAGDAD CAFE がお好きな方は、走ってみてください。

MY DREAM IS STILL ALIVE
ROUGH BOY